会社を退職してすぐに就職しない場合、国民健康保険に加入しなければいけません。ただ、期間限定ではありますが、それまで入っていた企業の社会保険を継続することも可能です。この記事では、これら2つの制度について、具体的な保険料の試算も交えて比較します。
健康保険の任意継続制度とは?
健康保険の任意継続制度は、退職前に加入していた企業の社会保険を、退職後も最長2年間継続できる制度です。退職後も同じ保障内容を維持できるため、特に安心感があります。
任意保険継続のメリット
同じ保証が継続される
それまで入っていた保険と同じなので、基本的に退職前の健康保険と同じ保障を享受できます。
ただし企業にっては異なる場合もあるので、確認してみてください。
医療費の自己負担割合が低い
国民健康保険は扶養という概念がないため一人一人加入する必要があり、特に扶養者が多い場合は社会保険よりも割高になる場合が多いです。その為、国民健康保険よりも自己負担が少ないと言えます。
社会保険料の控除が受けられる
1年間支払った社会保険料の全額が控除の対象になります。
任意保険継続のデメリット
保険料が全額自己負担になる
在職中は半分を企業が負担してくれていましたが、退職後はすべて自分で負担しなければいけません。
任意保険継続期間は最長2年
任意保険継続できる期間は最長でも退職後2年間と決められており、その後切り替えが必要になります。
2年目以降は割高になる可能性も
任意保険継続した場合の保険料は2年間変わりません。対して国民健康保険は前年度の年収によって決まるため、退職後の年収が低い場合、2年目以降の保険料が割高になる可能性があります。
国民健康保険とは?
国民健康保険は、自営業者や退職後の人々が加入することが一般的な公的な保険制度です。
国民健康保険のメリット
加入条件が簡単
基本的に日本に住所があり、生活保護を受けていない、他の健康保険に未加入であれば、加入できます。
保険料が所得に応じて決まる
前年度の所得に応じて保険料が決まる為、収入が少ない場合保険料も抑えることができ、経済的負担を軽減させることができます。
国民健康保険のデメリット
扶養の概念がない
扶養の概念がないため、家族分の保険料も支払う必要があり、扶養者が多いと割高になる可能性があります。
出産手当金・傷病手当金が支給されない
制度自体がないため、支給されません。
健康保険の任意継続制度と国民健康保険の保険料比較試算
退職後の保険料の負担は、加入する健康保険の種類によって異なります。ここでは、具体的な試算をもとに、両者の保険料を比較します。
試算は一例として、年収600万円で、4人家族の場合を基に計算します。会社を退職後は年収100万を想定。
【任意継続制度の保険料試算】
任意継続した場合は最大でも2年間しか継続できないことと、その間は保険料は変わりませんので、2年間分を計算します。
2年間の保険料試算
- 年収600万の場合、月収は約50万円
- 標準報酬月額が30万円と仮定
- 保険料率を10%と仮定
- 月額保険料:300,000円 × 10% = 30,000円(月額)
- 月額保険料:30,000円 × 12ヵ月 = 360,000円(年額)
よって2年間で720,000円となります。
【国民健康保険の保険料試算】
国民健康保険は前年度の年収で保険料が決まる為、1年目と2年目をそれぞれ計算し、その合計の2年間の保険料を計算します。
1年目の保険料試算
- 所得割:(600万円 – 基礎控除43万円)× 10% = 557,000円
- 均等割:40,000円 × 4人(本人+扶養者3人)= 160,000円
- 年間保険料;557,000円 + 160,000円 = 717,000円(年額)
2年目の保険料試算
- 所得割:(100万円 – 基礎控除43万円)× 10% = 57,000円
- 均等割:40,000円 × 4人(本人+扶養者3人)= 160,000円
- 年間保険料;57,000円 + 160,000円 = 217,000円(年額)
2年間の保険料試算
よって2年間で934,000円となります。
どちらを選ぶべきか?選択のポイント
退職後の健康保険を選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 保障内容を重視する:退職前と同じ保障内容を維持したい場合は、健康保険の任意継続制度を選ぶのが良いでしょう。特に自己負担が少ない点が魅力です。
- 保険料を抑えたい:収入が少ない場合や、できるだけ保険料を抑えたい場合は、国民健康保険の方が安くなる可能性があります。特に所得に応じて保険料が決まるため、収入が少ないと軽減されることがあります。

鉄火の場合、退職後はガッツリ働く気はないので1年目は任意継続して、2年目から国保に切り替えるのが一番安く済みそう。
まとめ
退職後の健康保険は、経済的な負担や保障内容の面で重要な選択です。健康保険の任意継続制度は、退職前と同じ保障内容を維持できるため安心ですが、保険料が高くなる場合もあります。一方、国民健康保険は、所得に応じた保険料が特徴で、収入が少ない場合には保険料を軽減できる可能性があります。
自分のライフスタイルや経済状況を考慮して、最適な制度を選びましょう。
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